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【お役立ち情報】成年後見制度の種類
高齢化社会になりつつなる日本の昨今、『成年後見制度』と言う言葉が巷、マスコミ、新聞等で良く話題になっております。今回は成年後見制度、種類についてまとめてみました。
目次
1、成年後見制度とは
2、成年後見制度の種類
3、後見
4、保佐人
5、補助人
6、成年後見人等の具体的業務
7、成年後見人等の定期報告義務
8、まとめ
1、成年後見制度とは
近頃ニュースでもよく目にしますが、振り込め詐欺やお年寄りをねらった悪質な勧誘などの事件が増えてきました。そういったお年寄りの方の中には、認知症などでご自身での判断能力が不十分で、誤って詐欺に会われた場合があります。そのような方達の代わりに、不動産や預貯金などの財産管理をはじめ、介護施設や老人ホームなど施設の入所に関する法律行為の契約を代理したり、支援して判断能力を補い、本人の権利を守ることができる制度です。他にも、知的障害や精神障害などの理由で判断能力が不十分な人達にもこの制度が適用されます。また、ご自身で判断ができず不利益な契約を結んでしまった時など、代わりに契約解除の手続きを申出して、本人を保護することができます。また、近年多くなってきている相続問題などでも、本人の判断能力が不十分な場合遺産分割協議などが、まとめられず相続の手続きが滞ってしまうなんて話をよく聞きます。成年後見制度をご利用すれば、判断能力が不十分な本人の代わりに代理で手続きを進める事ができます。また、その際は本人に不利益になるような協議はできなくなります。
2、成年後見制度の種類
まず大きく分けると法定後見制度と任意後見制度の二つに分けられます。
任意後見制度
分かりやすくいうと遺言書みたいなものです。まだご自身で、判断が十分にできるときに、将来のためにと判断が不十分になってきた時の為に、あらかじめご自身の任意後見人(代理人)を選んでおく制度です。ご自身の生活、財産管理、療養看護などの代理権を与える旨を公証人作成の公正証書で契約いたします。そうすることによって、本人の判断能力が不十分になってきたときに、任意後見人が家庭裁判所へ任意後見監督人選任の審判に申立てをし、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと、任意後見人は本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。
法定後見制度
本人の判断能力の程度や事情に応じて3段階の制度にわかれています。家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人のこと)が、本人の代理で財産管理や契約などの法律行為をしたり、本人の利益の為に、不利益な法律行為を後から取り消せたり、本人を保護や支援をする制度です。段階的には下記のようになります。また、申立人は、3段階とも同じで、本人,配偶者,四親等内親族,市町村長(※)、他。※ 判断能力が不十分な高齢者等の身近に成年後見等の申立を行う親族がいない等の場合で、「福祉をはかるため、特に必要があると認めるとき」の申立権者とされています。本人以外の者からの申立により,保佐人に代理権を与える審判をする場合は,本人の同意が必要になります。補助開始の審判や補助人に同意権・代理権を与える審判をする場合も同じです。
3、後見
成年後見人に全面的な代理権が与えられている後見制度で、法律行為の利益の得失の判断が不十分、かつ、実際に法律行為を行うことが困難な方達を対象とした制度。
対象
判断能力が欠けているのが通常の状態
同意が必要な行為
特になし
取り消しできること
本人のみで法律行為を行った場合、日常生活に関すること以外の行為に対して、取り消しができる
代理権の範囲
財産に関するすべての法律行為(※)
※自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,後見人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。
具体的には…
日常の買い物も自分ではできず、誰かに代わってやってもらう必要がある人・家族の名前、自分の居場所など、基本的な日常的なことが分からなくなっている人・遷延性意識障害の状態(いわゆる植物状態)の人等
4、保佐
保佐人には包括的な財産行為等の同意権(取消権)が与えられ、本人の申立てまたは同意があれば代理権の付与も認められる制度です。保佐人が付いていても、保佐人の同意のもと、本人が利益得失の適切な判断ができれば、行為自体は本人が自分で行える。
対象
判断能力が著しく不十分な方同意が必要な行為:民法13条1項所定の行為(※3)
取り消しできること
民法13条1項所定の行為(※3)
代理権の範囲
申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」
具体的には…
・日常の買い物程度は自分でできるが、重要な財産行為は自分で適切に行うことは困難なので、他人の援助が必要な人
・まだら認知症(ある事情はよく分かるが、他のことは全くわからない、日によって認知症の症状がでるときと、でないときがる)の重度の人等
※民法第13条第1項の行為貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。金銭を借り入れたり、保証人になること。不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。贈与すること、和解・仲裁合意をすること。相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。新築・改築・増築や大修繕をすること。一定の期間を超える賃貸借契約をすること・「特定の法律行為」は、裁判官が本人に適した行為を上記の中から特定します。
5、補助人
補助人には、重要な財産行為の一部にだけ、本人の申立てまたは同意の下で同意権・代理権が与えられる制度です。本人が重要な財産行為について適切な判断ができ、行動することが一応可能であると思われるものの、複雑な行為を1人で完遂することが困難であるため、本人保護のために補助人をつける制度です。
対象
判断能力が不十分な方
同意が必要な行為
申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)(民法13条1項所定の行為(※3))
取り消しできること
申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)(民法13条1項所定の行為(※3))
代理権の範囲
申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」
具体的には…
・重要な財産行為も自分でできるかもしれないが、適切にできるか不安があり、本人の利益のために他人の援助を受けた方がよいと思われる人・まだら認知症の軽度の人等
●成年後見を利用するにあたってのメリット
・本人の権利が守られる・悪徳商法からの保護に有効・本人や家族の意思により、信頼できる人を成年後見人・保佐人・補助人に選出することができる
●成年後見を利用するにあたってのデメリット
・権利の制限や資格制限をうけることになる(株式会社の取締役や監査役などの役員の場合は地位を失う医師や薬剤師、弁護士等の場合は登録を抹消する必要が生じる建設業、警備業、薬局、旅行業などの事業の許認可を受けることができなくなる)・本人の選挙権は喪失される・月額3万円程度の金銭の負担がかかる(報酬代)
6、成年後見人等の具体的業務
具体的な業務は、後見・保佐・補助の段階によって少しずつ変わってきますが、基本は一緒です。法律行為や財産の管理、身上配慮の義務などです。例えば、身寄りのないAさんの成年後見人に就任したとします。Aさんは、週に2回ホームヘルパーのサービスを利用しています。認知症の症状がすすみ、一人では食事やトイレに行くことも難しくなってきました。現状の週2回のヘルパーのサービスではAさんの生活は成り立たなくなってきました。成年後見人としてどうすればよいでしょう?
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成年後見人としてできることは、Aさんが安心して暮らせるように生活の環境を整えてあげる事です。例えば、ホームヘルパーのサービスを増やしたり、介護施設の入所を検討したり、財産を確認してAさんの現状にあった支援を見つけ出します。また、成年後見人には身上監護が義務づけられていますが、これは法律行為の身上監護なため、成年後見人自らが、Aさんの家事を代行したり、身辺の介護をしたりする事実行為は含まれていないため基本的には致しません。あくまでも、法律行為の範囲内となります。
7、成年後見人等の定期報告義務
民法863条1項後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。このように定められているため、成年後見人等は家庭裁判所に1年に1回報告書を提出する義務があります。報告書は下記の4つにわかれています。
①後見事務報告書
②財産目録
③収支状況報告書
④財産および収支の状況に関する証明資料(領収証など)
報告は1年ごとで、内容も難しいものではないので、日頃からまめに後見事務についての記録を作成し、領収証等も整理していれば、裁判所から報告を求められも速やかに対応できるでしょう。また、1年ごとの定期報告の他に、本人の生活環境や財産状況に大きな変化が生じる場合には、随時家庭裁判所に報告する必要があります。
8、まとめ
まとめますと、成年後見制度は下記のように分類されます。
大きな分け方
法定後見
任意後見
後見の分類
成年後見
保佐補助
後見人になった者は裁判所に定期的な報告が必要になります。
※当事務所は後見制度のご相談を含め、その他相続、遺言手続等ご相談承ります。
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